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オーシャン貿易株式会社 代表取締役社長 米田多智夫

平成の終わりに思う

 「平成」という時代が間もなく終わろうとしています。日本の近代化以降、初めて戦争の惨禍を体験しなかった30年間でした。海外に目を転じると、平成が始まって間もなく「ベルリンの壁」が崩壊、東西冷戦構造が終焉しました。しかし、逆に世界各地に新たな民族・宗教紛争や「イスラム国」のようなテロリズムを呼び覚ましました。冷戦という重圧に閉じ込められていた各国、各民族がカオスの渦の中で一気に開放されたことも一因となったのではないでしょうか。

 幸い我が国は、そうした紛争に直接巻き込まれることはありませんでしたが、自衛隊の海外派遣など決して無縁ではありませんでした。そして今、新しい冷戦の時代に入ったと言われています。グローバリズムの進展が新しい争いを引き起こしたのです。経済、情報、人・モノの移動がボーダレス化する中で米国と中国は、貿易だけでなく情報インフラをめぐる覇権争いを激化させています。移民問題に揺れる欧州連合(EU)は、英国のEU離脱やフランスの大規模デモなどで不透明感を一層色濃くしています。根底には、この30年間に急速に進展したグローバリズムとトランプ米大統領の自国第一主義に代表される反グローバリズムの確執です。このせめぎ合いは、しばらく続くでしょう。
 また戦争こそ体験しなかったものの、我が国は阪神淡路大震災(1995年)と東日本大震災(2011年)という二度の大規模地震と、史上最悪と言われる福島第1原子力発電所事故に見舞われました。豪雨、地震はその後も毎年、我が国を襲い続けています。

オーシャン貿易株式会社 代表取締役社長 米田多智夫

 国内経済は、戦後2番目だった「いざなぎ景気」(1965年11月~1970年7月)を抜き、実感なき好景気といわれた「いざなみ景気」(2002年2月~2008年3月)も超え、戦後最長となりそうです。日銀の「異次元金融緩和」を柱の一つとしたアベノミクスの成果と言えるでしょうが、目標だったデフレ脱却には未だ遠く、実質賃金は低迷し、成長率も平均1%台と低空飛行を続けています。2020年の東京オリンピック効果に期待するものの米中貿易摩擦の影響で世界経済の減速も懸念されています。
 こうした混沌とした時代に未来を切り拓くのは、独創性と勇気です。手前みそですが、10年以上前に、誰がベトナムでの花卉栽培を考えたでしょうか。しかも現地で、素人の我々が独力で大型園芸施設を構築するという冒険にチャレンジできたでしょうか。独創性と勇気を発揮した結果だと自負しております。このチャンスを前向きにアジアと日本市場の将来を見据えて、ベトナム、マレーシアに日本産食品卸売会社(SENDO ICHI)を開設、最高の鮮度管理技術を提供し、多くの顧客の支持を受けました。

 わが社は、単に右のモノを左に移す貿易商社ではありません。より高品質のモノを自ら創り、あるいはより「安心・安全」な食品を消費者に届ける企業でありたいと念じています。漫然と仕事に取り組んでいては独創性も勇気も持てません。絶えず問題意識を持って自分自身を磨く努力を続けなければなりません。教わるのではなく自ら学ぶことこそ、わが社の仕事の流儀にしたいと考えております。

 そして一人ひとりの独創性と勇気を生かすのがチームワークであり、組織、企業です。いくら素晴らしいアイデアも、時と場所を間違えば水疱に帰してしまいます。確実なマーケティングと戦略、さらに的確な判断が求められます。我が社の未来は、個々の社員の不断の努力と幹部社員の指導力、そして経営者の先見性と決断に左右されます。

オーシャン貿易株式会社 代表取締役社長 米田多智夫

 人類の近い未来に、地球温暖化問題や超高齢化社会、食糧やエネルギー問題が控えています。特に我が国にとって超高齢化社会への対応は喫緊の課題です。しかし、発想を変えれば、これらの課題の中にこそビジネスチャンスがあると思います。課題を克服するニーズ・市場があるからです。いきなり地球規模の問題を解決するのは難しいでしょう。しかし、時代が求めている動向をしっかりと見据え、独創性と勇気を持ってチャレンジしていけば、未来は無限に切り拓けます。私はそう確信します

2019年1月