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オーシャン貿易株式会社 代表取締役社長 米田多智夫

令和の幕開け

 「令和」という新しい時代が幕開けました。新時代に相応しく夢と希望に胸膨らませたいところですが、政治、経済ともに予断を許さない状況が続いています。昨年来懸念していた米中貿易摩擦は小康状態を保っていますが、中国経済の減速は一層顕著となり、両国の覇権争いはまだまだ続くと思います。また英国のEU離脱が確実となりましたが、離脱後の英国経済の展望は不透明で苦境に陥りそうです。国際政治も混迷を深めています。北朝鮮の核・ミサイルの脅威は払拭できず、「一国二制度」の香港では大規模デモが続いています。

 海外情勢に大きく左右される日本経済は、一喜一憂しながら依然低空飛行を続けています。昨年末の日銀短観によると、大企業製造業の景況感が悪化、消費関連指標も消費税増税の影響で軒並み大きく落ち込みました。政府の月例経済報告も「製造業の生産の弱さが増し、景気判断を下方修正」しています。これまで国内景気を支えてきた個人消費や設備投資にも陰りが見え、先行き不透明感が一層色濃くなってきました。

 混沌とした新時代に、企業が生き抜くには的確な状況判断と勇気が求められます。わが社は2年後に創業50年を迎えます。半世紀という歳月は企業存続の節目と考えています。

 そして今、さらに高みを目指して発展できるかどうかの分水嶺に差しかかっているように思えます。

オーシャン貿易株式会社 代表取締役社長 米田多智夫

 1973年に創業したわが社は、設立当初の数年こそ赤字でしたが、水産物、青果、生花などの輸出入や商品開発を果敢に手がけ、安定した黒字経営を続けております。2019年12月期の売上高は254億円になり、増収増益を達成しました。国内最大手の流通グループとの取引に続いて、昨年後半には東南アジア屈指の大手量販店との直接取引も開始、業績に寄与出来たものと考えております。主力は北極圏の海で育った「オーロラサーモン」をはじめとする水産物ですが、さらに取り扱いアイテムを多様化しようと会社を挙げてチャレンジしております。その一つがベトナムでの花卉栽培です。現地に建設も農業も“ずぶ”の素人が独力で大型園芸施設を建て、10年かけて軌道に乗せ、昨年11月には在ベトナム日本特命全権大使一行が来園され、激励を受けました。

 新たな市場の開拓、商品開発は一朝一夕にできるものではありません。現状をしっかりと把握し、未来を見据えなければなりません。そこで今後30年間、つまり21世紀半ばまでのパラダイムを決定づけるものは何かと考えました。

 一つは「環境」です。地球温暖化は海面上昇や降水量変化を引き起こし、洪水や旱魃、酷暑や台風などの異常気象を増加させるばかりか、生態系に大きな影響を及ぼし、漁業・農業に深刻な打撃を与えると予測されています。昨年10月、関東・東北地方に甚大な被害をもたらした台風19号を引き合いに出すまでもなく、近年、わが国を襲っている台風、豪雨などの異常気象は地球温暖化の影響と言われています。漁業・農業と密接に関わり、「食品」を主力商品として扱うわが社にとって「環境」には常に敏感でなければなりません。「環境」と時として対峙する「エネルギー問題」にも関心を抱かざるを得ません。地球規模の問題を一企業がいきなり解決できるとは思いませんが、こうした問題を頭の片隅に置いておくことが大切だと考えています。

オーシャン貿易株式会社 代表取締役社長 米田多智夫

 もう一つのキーワードは「情報」です。インターネットやスマートフォンの急速な進展は、人類の経験したことのない情報化社会を生み出しました。瞬時に世界中の出来事を把握できる一方、大量情報に飲み込まれる危険性も指摘されています。商社であるわが社にとって「情報」は生死を分ける重要な鍵です。しかし、いくら大量の情報を保有していたとしても、正確な分析力、判断力がなければ、それは単に情報の集積にしかすぎません。

 正確な分析力、判断力は何によって養われるのでしょうか。経験も必要でしょう。絶えず問題意識を持つことも大切です。そして何より重要なのはイマジネーション、想像することだと思います。ある出来事、状況などをビジネスと関連づける感性が求められます。

 すべての能力を一人が兼ね備えることはできません。経験豊富なベテランもいれば、感性優れた若手も大切です。幹部や経営者には勇気ある決断も必要です。いずれも自分自身を磨く不断の努力が、この厳しい時代を生き抜くことのできる個人を生み出し、その個人がチームとして機能した時、良い結果に繋がるものと考えます。また、我々は良い結果を残した社員に対しては、さらなる大胆な利益配分を行い、その努力に報いてまいります。

 企業はまさに「ONE TEAM」。21世紀半ばに向けて、しっかりとパラダイムを見据え、社員と信頼できるパートナーと共にスクラムを組み、更なる高みを目指せば次の50年、わが社は成長し続けるでしょう。

2020年1月