トップのメッセージ

Message

50年顧みて

わが社は、来年(2023年)1月に創立50年を迎えます。創業当初こそ赤字だったものの、それ以降毎期黒字経営を続けています。コロナ禍が世界を席捲したこの2年間も、増収増益を維持しました。

コロナ禍は世界の光景を変えました。都市封鎖(ロックダウン)が海外各地で行われ、外国人の入国制限が相次ぎました。「生命か経済か」が問い続けられ、グローバリゼーションに潜むリスクが取りざたされました。世界を相手に生鮮食品を扱う商社であるわが社にとっても、その影響は少なからずありましたが、社員やパートナー、取引先企業の皆さまの協力で難局を乗り越えることができました。まずは感謝申し上げたいと思います。

今回のコロナ禍もそうですが、自由貿易・グローバリゼーションの進展は、各国の経済、社会、環境が複雑に連環していることを痛感させました。多くの問題を一つの国だけで解決できる時代は終わりました。気候変動の危機、人口減少問題、拡大する所得格差などが我々に迫ってきています。

わが社にとって、これまでの50年は成長の時代でした。次の半世紀は多くの課題を抱え、より困難な局面に遭遇するかもしれません。しかし私は、そう悲観していません。柔軟な発想で果敢に挑戦する社風と、「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の企業理念「三方良し」を遵守すれば、社会から支持され続けると確信しています。

この50年間で取り扱った商材は生鮮食品、花卉などを中心に数百に上ります。中小企業の商社にとっては決して少なくない数だと思います。時代が求めるモノを敏感にキャッチし、市場動向を見極めながらも素早く行動する。中小商社だからこその強みだと思っています。主力の北極圏の海で育てた「オーロラサーモン」をはじめとする生鮮サーモンの取扱量は日本の生鮮サーモン輸入量全体の3割のシェアを占めるまでに成長しました。切り花の輸入事業は、創業間もない1974年、ニュージーランドから取り寄せた1ケースのシンビジュームからでしたが、2008年にはベトナムに自社農場を設立して菊(スプレーマム)を栽培、通年で安定供給し日本の市場では高く評価される様に成りました。

「世間良し」では、社内にSDGs(持続可能な開発目標)チームを立ち上げました。世界の海洋環境に配慮し、持続可能な方法で水揚げ・養殖された水産物であることを示す国際認証MSC/ASC認証の取得商品を取り扱い、サーモンの輸入業者としては日本で初めてASC CoC(商品のトレーサビリティーを確保できる認証)も取得しました。小さな社会貢献ですが、「京都こども宅食プロジェクト」にも参加、寄付金のほかサーモンの缶詰などを提供し始めました。

OECDが昨年末発表したエコノミックアウトルックによると、2022年の世界の経済成長率(実質GDP伸び率)は4.5%を見通しています。「世界経済の回復は続くが、成長速度は鈍化する」としています。中国の成長の鈍化に加え、オミクロン株などの変異ウィルスの出現が相次ぎ、先行きの不透明感が強いことなどが要因です。

一方、国際政治では、台湾海峡をめぐる情勢はますます緊迫、わが国の尖閣諸島や東シナ海問題とも密接に関わっています。アフガニスタンでは昨年8月、米軍が完全撤退し、タリバンが軍事的勝利を収めましたが、全人口の半分に迫る1,800万人が人道支援を求めています。隣国の韓国では、今年3月に大統領選が予定され、慰安婦問題や徴用工問題などをめぐってぎくしゃくした関係を解消できるのか、注目されます。

経済の先行きは不透明、国際政治は混迷、コロナ禍の終息はまだ見通せません。不確実性の高い時代だからこそ、強い信念を持って、知恵をしぼり、果敢に挑戦すれば道は必ず開けると確信しています。

2022年
オーシャン貿易株式会社 代表取締役会長

米田 多智夫

オーシャン貿易株式会社 代表取締役社長

金子 直樹